国会, 政治活動報告


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予算委員会

第153回国会 衆議院 予算委員会
平成13年10月5日

○中井委員

自由党の中井です。
今回のアメリカで起こった悲惨で卑劣なテロに対して、激しい憤りを抱き続けています。断固こういう行為をなくすために、私どもも、やれる範囲で、世界の仲間と一緒にやれることをやっていく、こういう思いは一緒であります。同時に、被害に遭われた方、亡くなられた方にも心からお見舞いとお悔やみを申し上げたい、この機会に思います。

そういう観点で、少し、まだ御遺体の捜索が続いている最中でありますが、日本には犯罪被害者等給付金支給法という法律があって、交通事故あるいは通り魔、いろいろな形で亡くなられたり、傷ついた方に対して救済措置をとっております。今回のこの事件に関して、日本人の被害に遭われた方々にこの制度を適用する、こういうお考え、総理おありでしょうか。

○村井国務大臣

犯罪被害者等給付金支給法は、私ども警察の方の所管と承知しておりますけれども、あくまで国内における犯罪被害者の救済に当てるという形になっている法律だと承知しております。

今委員御指摘の点につきましては、ちょっと突然の話でございます。なお研究をさせていただきたいと存じます。

○中井委員

対象となる犯罪被害、「日本国内又は日本国外にある」、こう書いてございます。船舶、航空という条件もありますが、私は、拡大解釈すれば十分適用できることだと思っております。御配慮いただきますようお願いをいたします。

次に、またいろいろな場所で我が党の委員が質疑をされると思いますが、四日の幾つかの新聞に、田中外務大臣が、天皇陛下に九月、内奏をされて、こういうことを言った、天皇陛下の御反応はこうであったといったことを漏らされたというニュースが報じられておりました。

外務省並びに外相はこれを否認をなさっているようでありますが、総理は、この事実を御確認されたのか、あるいはまた外相にお確かめになられたのか、こういったこと、突然ですが、お尋ねをいたします。総理大臣にお尋ねします。

○小泉内閣総理大臣

私は全く聞いておりません。どういう形で報道されたのか、報道によってこういううわさが流れているということですが、恐らく外務大臣もその報道を見たんでしょう、すぐ否定されています。だから、何でこういううわさが出るのかね、それが不思議でしようがないんですよ。だから、外務大臣が否定されているんですから、私は、そういうことはないと思っております。

○中井委員

なければ結構であります。しかし、私も予算委員会で質問をさせていただく以上、いろいろな形で調査もいたしております。ぜひ、総理におかれましても官邸でお調べをいただく、事実があったかないか、きちっとしていただく。また同時に、外務大臣、大変恐縮だけれども、いろいろと否定されるが、国会で言われたこと、記者会見で言われたこと、テレビで言われたこと、すぐ否定される名人でありますから、私どもはなかなか、そこら辺を思わざるを得ません。そういった意味で、十分御調査いただきますことをお願いして、質問に入らせていただきます。

私は、五月十日、本会議で小泉総理に、総理はかねてから自衛隊は軍隊であるとおっしゃっておられる、また、自民党の総裁選挙に当たって、自分が総理になったら集団的自衛権は従来の解釈と違って認めるんだ、この行使を認めるんだ、こういったことを言われておりましたのを受けて、集団的自衛権、憲法解釈を変えられたらどうですか、こういう御質問を申し上げました。総理は、長年の経過があるからなかなかそうはいかない、しかし幅広く研究したい、こういうお答えでございました。

今回、このテロ事件に対応するに当たって、いろいろな議論がこれから行われるわけでありますが、やはりもうここまで来たら、憲法解釈というものを変えてきちっとした形でやらない限り、法案に無理がある。どうしても、この難しい質問、また現実的じゃない議論をせざるを得ないと僕は思うんですね。

そういう意味で、国民は、もう湾岸戦争以来十年たって、よく理解をされておりますから、堂々と集団的自衛権の憲法解釈をお変えになって、それは反対の方もおられます、その上で自衛隊に働いてもらう。このことが国家としてとるべき当然の姿だと私は思いますが、率直に、いかがでしょうか。

○小泉内閣総理大臣

中井議員はもうすべてわかった上での御質問だと思うんですが、今までの自衛隊論争、憲法論争、あるいは湾岸戦争以来の議論を聞いていますと、本当にこれ、技術論、法律論、この議論を聞いたら外国がどう思うかと思うと、ちょっとおかしいんじゃないかという議論を、この三十年近く、私もいろいろ速記録を読みながら、憲法解釈の問題、集団自衛権の問題、よく見直してみましたよ。

これは学者の間でも憲法論が分かれているんですから。憲法を読んで、いまだに自衛隊は憲法違反だという学者もいるし、国会議員もいる。そういう中でいかに、自衛隊は合憲である、そして国際社会の中で協調していくかということで、今まで、戦後、歴代政府は、国会の議論を踏まえながらいろいろ苦労してきたと思うのであります。

今回も、全く新しい事態です。個別自衛権、集団自衛権は保有しているけれども行使できない、これがまたいろいろな今議論になっております。そういう中で、私は今回、五月の所信表明演説の中では触れませんでしたけれども、総裁選挙の過程で、集団自衛権というものについてもう一度研究してもいいのじゃないかということは言いました。今回も、今まで過去のいろいろな政府答弁、いろいろ勉強させていただきまして、この全く想定しなかった新しい事態にどう対処するか。

そこで、私が行き着いたのは、憲法前文と憲法九条をどうやって調整するか。憲法前文は、世界と協調しながら国際社会の中で日本は名誉ある地位を占めたいと高らかにうたっております。そして、自国のことのみにとらわれて他国を無視してはならない。そういう中でいかに国際協調を果たしていくか。

一方、いまだに日本では自衛隊は軍隊でないと言っても、外国は、自衛隊が出ていけば軍隊扱いです。それは、日本の観念と外国の観念と違う面が随分ある。今度のPKO活動にしても、外国の軍隊が参加しています。その中で、一時期は、自衛隊と名がつけば海外に派遣してはいかぬという議論の中で、ようやく平和維持活動だったら自衛隊も派遣していいということでPKO法案が成立した。このときだって、あのPKO法案が成立したときだって徹夜ですよ。賛成、反対、反対でもう徹夜でやっと成立したぐらい。

こういう中で今回、新しい事態ですが、私は、そういう事情を踏まえながら、今までの憲法の範囲内で何ができるかということで行き着いたのが、きょう閣議決定しました新法案なんです。いわば自衛隊の任務に、今までの解釈では海外に派遣するのに無理がある。やはり法的な整備を裏づけて、自衛隊に新しい任務が、きちんと法的整備の裏づけのもとで外国でいろいろ活動してもらおう。ただし、それは武力行使はいたしません。

そういう前提のもとで、今の、テロを根絶する、テロを防止するためには日本は何ができるか。それは自衛隊の皆さんにも協力してもらう、民間の皆さんにも協力してもらう、経済の面でも協力する、あるいは外交の面でも協力する、医療の面でも協力する、人道的な面でも協力する。そういう中で、自衛隊だから海外に派遣できない、自衛隊だからできることをしないということは、私は、国際協調のもとで、これは日本がこれからの国際社会の中で責任を果たしていかなきゃならないということを考えると好ましくない。

自衛隊でもできることは精いっぱいやってもらおうということで、今回、自衛隊の役割といいますか、新しい任務もできるような形で新法を制定したい。そういう中にあっては、現行の憲法の範囲内、そして今までの政府の解釈を変えたわけではないということを御理解いただきたいと思います。

○中井委員

それではお尋ねをいたしますが、総理は、総理大臣をやめられた後、まだお若うございますから政治家としておやりになる、その間もずっと集団的自衛権の解釈は変えない、こういうことで政治活動をされますか。これが一つであります。

それから、憲法解釈を変えたことではないと今言われましたが、集団的自衛権行使に対する解釈は従来どおりでありましょうが、例えば、従来武力と一体化だ、こう言われておった輸送あるいは医療、こういったところへ踏み込んでおられる。従来の憲法解釈を変えておられるんだ。僕は、変えて悪いと言っておるのじゃないんですよ。変えるのだから、もっと思い切って集団的自衛権の行使、ここまでいけばどうしてこんな法律が要るのですか、要らない、自衛隊だって胸を張って行ける、そういうことを申し上げているのであります。

赤軍のテロ事件、湾岸戦争、PKO、私もずっと議論をいたしました。民社党、新進党と来ましたけれども、常に自衛隊の活用ということに賛成で今日まで参りました。ここへ来てこの法案に反対の立場で質問するなんて、夢にも思いませんでした。しかし、やはりこれは日本の国会議員としてきちっとしてやっていかないと、またこの次に同じような法律をつくるのですか、皆さん。何回こういう法律をつくるのですか。そのたびにすき間をついておるのじゃないですか。そういうこそくなやり方でいって、自衛隊が胸を張ってやれるのか、諸外国はウエルカムと言うのかということも含めて、私はこの質問を申し上げたわけでございます。

総理大臣、これからも憲法九条の集団的自衛権の解釈を変えずに政治活動をやる、これについて御答弁いただきます。

○小泉内閣総理大臣

私は、総理になる前から言ったのです。集団的自衛権の行使を認めるのだったらば憲法を改正した方がいいと。今、状況を考えて、憲法を改正するような状況じゃないですよ。その中でいろいろ知恵を出して、憲法の前文と憲法九条の間のすき間、あいまいな点があるところを、どうやって国会議員の皆さんの知恵をかりながら日本ができることをやろうかということを考えている。

確かにあいまいさは認めますよ、あいまいさ。すっきりした、明確な、法律的な一貫性、明確性を問われれば、答弁に窮しちゃいますよ。大体、憲法そのものが難しいです。学者でさえも違憲論、合憲論あるんだから。一貫性というか、そこはすき間がある、解釈によっていろいろ活躍あるいは役割が持てるという中で考えたんですから。これは、もう中井議員の、私は賛成の立場で言ってくれると思ったら、まさか反対の立場で質問されているとは思っていなかったけれども。

そういう点を考えて、憲法の範囲内でぎりぎり、国際協調の中で日本は何ができるかということを主体的に取り組もうと。確かにすっきりした答弁はできないかもしれませんが、それは憲法の範囲内でできる限りのことをやるという今の努力というもの、これをやはり日本としても国際協調をもってしなきゃならないという点から今考えているところであるということを御理解いただきたい。

○中井委員

憲法を改正する時期ではない、こうおっしゃったけれども、小泉総理は構造改革を言われて、聖域なき構造改革と言われている。日本を根幹からどうしようかという議論をするのに、憲法を考えずに聖域なき構造改革なんてできるわけがないんだと僕は思っていますよ。あなたがそれを言わないのは、勇気がないだけだよ。だから、それはこれだけにして、憲法論議でやらずに今の法律の中で行かれるというのだから、私どももあえて今の法律にのっとっていろいろなことを申し上げなきゃならない。

先ほど、横路議員の御質疑の中で、国連決議の問題がございました。僕は、横路さんのおっしゃるとおりだ。本当に二十年間で初めてですよ、横路さんと一緒だという、こんなこと。知事さんをされておったから、しばらくはあれですが。

これは本当に、それではどうして今の国連決議で、こんなに自衛隊を出すんだ出すんだと行かれるんだ。きょうパキスタンへ物資輸送されたのは、難民の事務所からの御要請だから結構でしょう。しかし、どうして国連決議で、あの決議で行けるんですか。湾岸戦争のときに、何回国連は決議しましたか。武力行使をみんなでしてもいいというまで、どれだけの国際間の努力があったんでしょうか。今回はテロだから早くやらなきゃならないとか、国家相手じゃないからとか、いろいろなことはあるでしょう。しかし、この間の国連決議だけで、安全保障の常任理事国でもない日本がぱっと行っちゃう。これはどうなんでしょうか。

せめて国連できちっとした決議ができるように日本として最大限努力をする、その上でこの法案と一緒に自衛隊の行動を考えます、こういうふうにお答えになるのが私は憲法をお守りになるという総理大臣の考えに近い、こう思いますが、いかがですか。

○小泉内閣総理大臣

湾岸戦争のときは今と違うんです。それはイラクとクウェートの戦争だったんです。アメリカは関係ないんですよ。だからこそアメリカは国連決議をしようとしたんです。クウェートが侵略された、クウェートを救うために自国の青年の血を流さなきゃいけない。関係ない、しかし世界の平和と安定のために、侵略を認めるわけにいかぬということで、はるかかなたのイラク、クウェートに対して自国の軍隊を投入するために、個別自衛権という観念じゃ無理がある。だから、これは侵略を認めたら大変なことになるということで、世界と協調する態勢があるということで武力行使の国連決議を求めたんですよ。

今回、アメリカは違いますよ。個別自衛権だと。自国の本土で、国防省とニューヨークのトレードセンター、これは自国への攻撃だと認めたのです。はるかかなたの自分の関係ない国じゃないんです。だから、個別自衛権、安全保障理事会でも個別自衛権を有すると認識しているんです。

そういう中で、これは自国にだけ攻撃されたんだけれども、八十カ国に及ぶ国民があのワールドセンターで犠牲になっている。日本人も犠牲になっている。だから、世界と協力して、想像できないようなこのテロに対して、国際的な協力のもとに対決しようということで立ち上がっている。そのときに、日本ができるだけの国力に応じて協力しない、そのリスクを考えるならば、私は、ここはやはりテロ根絶のために、テロ防止のために、これだけ世界が立ち上がって、日本も国力に応じてできるだけの協力をしよう。それは自衛隊だけじゃありません。いろいろある。だから、そのできることをやるということを御理解いただきたい。

○中井委員

湾岸戦争のときにはアメリカはそういう考えもあったかもしれませんが、サウジとの安全保障条約もあったんだ。サウジアラビアを侵略されたら大変なことになるということもあって出た。だから、そこら辺は、総理、十分お互い気をつけてしゃべった方がいいんだろう、このように思います。

私どもは、政府が持てる力をもって国連で最大限の決議ができるよう努力されることを強く要望をいたしておきます。

それから、日本にありますアメリカの軍が、在日米軍が既に佐世保や沖縄からインド洋あるいは近辺へ出ておる、こういうニュースが報じられております。

日米安保条約で、日本におります米軍は極東の安全のためだけ、また日本の安全のためだけ日本の基地を使える、こういうふうに規定されているわけでございます。今回、米軍は行った、頑張れ、何ぼでもお手伝いする。どこにそんな法律があるんですか。これは、政府に連絡があって、政府はオーケーと言ったんですか、お聞かせください。

○田中国務大臣

お答えいたします。
これは在日米軍の、軍の単なる移動というふうに解釈をいたしております。

○中井委員

僕、外務大臣に余り質問したくないんだけれども、第六条、日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍、海軍が日本国において施設及び区域を使用することが許される、こうなっておるんです。

世界じゅうに飛び立つのを日本は許すことになっていないんじゃないですか。それを、どうしてそういう答弁なさるんですか。あれは訓練に行っておるんですか。

○田中国務大臣

米国は我が国防衛の義務があります。これは安保条約の第五条でございます。そして、一方、我が国はアメリカに我が国及び極東の平和と安全のために施設と区域の使用を認める、これは安保条約の六条でございますけれども、このことによって米国の義務とバランスがとれます。

○中井委員

だから、違うでしょう、やっていることが。
委員長、だめです、あの答弁。今の答弁だめです。僕の言ったことを答えただけですから。(発言する者あり)

○野呂田委員長

速記はとめないでください。撮影の時間がありますから。
外務省に申し上げますが、的確な答弁を再びお願いいたします。
中井洽君。

○中井委員

僕は、今回、アメリカがすさまじい怒りを持っている。全国民一体となって、やるんだ、こうやっておられるあの勢い、すさまじさ、久間さんは怖いと言われました。私も、そこも含めてアメリカという国を見ています。このアメリカに、同盟国としてテロ撲滅のためにいろいろなことをお手伝いするのは結構だ、これは申し上げています。しかし、法律はきちっとしてください、守るものはきちっと守ってやってください、こう言っているわけであります。

日本にある米軍基地が、世界じゅう、どこのため、何のためでも、日本政府の了解もなしに飛び立って軍事行動ができるというのなら、日本国民は米軍に基地を使用さすことについてためらいを覚えるんじゃないですか。ここら辺をきちっと整理して、次の機会にお答えをいただきたい。

肝心のことがわからなくて、今までかかるんですか。(発言する者あり)何でだ。どうしてだ。どうしてだ。

○野呂田委員長

不規則発言はやめてください。
外務大臣。

○田中国務大臣

施設と区域の使用目的というものは極東の範囲に限られております。しかし、運用上は、在日米軍の移動はあり得るのでございます。

○中井委員

これは湾岸戦争のときの政府解釈と違う。それは統一してこの次の、特別委員会開くんですか、あるいは私どもの党の質問している間にお答えをいただきたい。時間がありますから。これは湾岸戦争のときのお答えと違う、今のお答えは。

それからもう一つは、施設と設備を極東の安全と平和のためだけ使える。こういうのなら、どうして自衛隊は、今度法律改正して、米軍の安全のために護衛に行くんですか。護衛につけるようにするんですか。今度新しい法律で、自衛隊は警備体制をしけるようにするんでしょう。違うの。世界じゅうに行くために日本は護衛に出るんですか。そういうことになるでしょう。

○中谷国務大臣

基本的に、在日米軍基地というのは我が国の領土内でございます。その使用権は米軍にございますが、我が国の領土でございますので、我が国が安全保障を管理するのは当然のことであるというふうに思います。

○中井委員

世界一の最強の軍隊はアメリカであることは、だれも異論がないと思います。その世界一の軍隊を我が自衛隊が守らなきゃならないというのは、僕は少しおかしいと。ただ、日本のために働いてくれて、あるいは極東の安全のために働いてくれている。そのときに、御家族の方だとか留守になった施設やらを自衛隊が守るということであるならば、それはあり得るだろう。しかし、世界じゅうどこへでも日本から行く、その米軍の安全を日本の自衛隊がどこまでも守るんだ、そんなことはないでしょうと、このことをあえて申し上げておきます。

それから、引き続いて法案の中身に行きますが、この法案について先ほど小泉総理は、テロ撲滅、こう言われました。テロ撲滅のためなら、どうして二年間、時限立法になさるんでしょうか。僕は、この法律は、例えばタリバンならタリバンというテロを撲滅する、もっと限定されるべきだ。

テロというのは世界じゅうにあるじゃないですか。撲滅といったらいつ終わるんですか。今回、自衛隊をこの法律のもとに出動させられる。ビンラーデンという犯人、主犯格と目される男が殺されたり捕まったら自衛隊は引き揚げるんですか。タリバンがアフガンの実効支配をやめたら自衛隊は引き揚げるんですか。いや、アメリカがまだテロは世界じゅうに残っているといってあっちこっち戦い続けようとしたら自衛隊も行くんですか。どっちなんでしょうか。これはテロと書いてあるんです。

○福田国務大臣

今度提出させていただきます法案におきましては、九月十一日のテロ攻撃への対応にその目的を限定しております。したがいまして、性格上、目的を達成した時点で廃止されることが予定をされております。(中井委員「その目的は何ですかと具体的に聞いているんです」と呼ぶ)ですから、これは、これからどういうことがどういう事態になるか、今予測ができないんですよ。ですから、その事態に至って、その都度判断をしていくということ以外にはないと思います。

○中井委員

私どもは、ずるずるずるずると自衛隊が何でもできるという状況になる、このことを心配しているわけであります。今回、横須賀を出港しました空母に対して、日本の自衛隊が研究調査と称して護衛についた、内閣は知らなかったというようなことを含めて、どんどんどんどんと自衛隊が法律や国会のシビリアンコントロールなしに動く。そういう体制がだめだから今の憲法ができたんじゃないでしょうか。

そういう意味で、このテロの定義、どうしたら戦争というものをやめて自衛隊は帰ってくるんだといったところをきちっとされるべきだ、このことを申し上げておきます。

その次にこの中でわからないことは、戦闘行為によって遭難した戦闘参加者の捜索、救助を行う、こう書いてございます。これは、今までにない新たな任務。戦闘行為によって遭難した人が、どうして戦闘行為のない安全な地区にいるんですか。自衛隊は、戦闘行為のない、戦闘行為がこれからも起こらないところへ相手の国の了解を得て行くんでしょう。どうしてそこで戦闘行為で傷ついた人やら遭難者を助けるんですか。僕は全然わからぬ。

○中谷国務大臣

これは、やはり人間として、前で、川で人がおぼれていたらみんな飛び込んで助けるのに、じっと立って見ているのかという議論に似たような感じで、我々、現在のガイドライン法案でもこの規定はございます。

ただし、戦闘行為が行われている場所には自衛隊は行かないという前提でありますので、せめて、戦闘行為が行われていない部分でそういう救援活動を行っていくというような内容でございます。

○中井委員

今いみじくも長官からお話があったように、アフガン国境でパキスタンにおられる自衛隊の方が、ゲリラ戦か何かがあって米軍の死者が出た、そうしたら、目の前だから助けに行かなきゃしようがないじゃないか、こういって出かけるというわけでしょう。そういうことじゃないですか、今のお話は。それは、人間としてそうなっちゃうんだよ。それは違うと法律に書いてあるんだよ、これは。地域が違う。

今ガイドラインのことを言われたけれども、そのときには後方地域と言われたんだ。そこへ、日本を攻めてくるのはまた別の戦争だ、こういうお答えだったわけ、小渕さんのお答えは。しかし、今度は後方地域と書いてないんですよ。実施地域と書いてある。どう違うの。

要するに、一線を画して交戦のないところでやるんだと言うけれども、実はあいまいだからそれを越えても行けるんだという書き方じゃないんですか。そういうあいまいなことで現地の自衛隊に判断を任せていいんですかということを申し上げているわけです。

○中谷国務大臣

その件につきましては、あらかじめ、実施させる前に、基本計画におきまして戦闘行為が行われていない地域を指定いたします。そして、その戦闘行為の行われていない地域においてのみそういう救援活動を行うということでございます。

○中井委員

そういう形で、無理してすき間すき間をねらって法律をおつくりになるから、どうしても、私みたいに素人の者が質問しても、わけがわからぬ、お答えに困るような状態になるわけです。

アメリカに国全体挙げて協力してテロ対策をとるというのはそのとおりだ。しかし、例えば、総理、十月一日のニューズウイーク、「マーシャリング フォーシズ ツー ファイト テロリズム」、こう書いてあるんですね。「ライクリー パーティシペンツ イン ミリタリー アクション」、軍人を出して、軍を出して一緒に戦ってくれる国、オーストラリア、イギリス、フランス、ドイツ、ニュージーランド、こう言っている。「マイト アロー US ツー ユース ゼア ベーシズ」、基地を貸してくれる国、日本、こういうふうに入っておるわけです。勝手にもう言ってしまっておるわけです。だから、もうそれでいいんじゃないですか。

フランスなんかは、ここにはっきりと期待されておっても、戦艦二そうですか、二機ですか、出すだけで、後方支援、こう言っているんです。今回はゲリラ戦ですから、なかなか出し方は難しい。何が何でも出すんだというようなことは、よくお考えになっておやりになるべきである、こう思っております。

それよりも、我が国としてもっとみんなで考えなきゃならぬことはいっぱいある。例えば、オウムをなぜ許したんだ、オウムを。今回のテロよりもっと悲惨なテロだったじゃないか。破防法の適用もしなくて、いまだにオウム真理教は活動しているじゃないですか。こういったことの反省ができていないと僕は思います。

あるいはまた出入国管理、法務省は五年で千百人ですか、増員体制を組まれようとしていますが、なかなかこれだって、中部国際空港が間もなくできようとしているけれども、この体制もできない。国内のテロ十数人、イスラムの原理教の連中が潜伏した、こういう情報機関の連絡はあるけれども、これはだれがキャッチするんだ、だれが調べるんだ、担当局もない。総理は、情報をいろいろな形で集めて一元化して使うんだ、こうおっしゃる。そのとおりです。だけれども、どこがこういうテロに対してやるんだという対応もきちっとしていない。あるいは、日本の中で飛行機を含めた公共輸送、例えばJRのある会社には、ゲバをやり続ける革マルというグループが千人もいる。ほったらかしだ。

こういったことを含めて、国内の法整備や体制や、みんなでテロときちっと闘うんだ、こういう意識統一というのが私はアメリカに対する応援になる、また、日本でそういう仲間をふやしたり応援をしたりする者を出さない、こういう体制づくりになるんだ、こう思いますが、総理はいかがお考えですか。

○小泉内閣総理大臣

御指摘のとおりであって、まさに有事対応体制といいますか、危機管理体制、これは日本で欠けている面がかなりあると思います。そういう面において、平時から有事に備えるというような体制をとるということは極めて重要なことであると認識しております。

○中井委員

お話のあった危機管理体制ということ、私どもも本当に、マニュアル化してでも考えていかなきゃならないと思っています。

今回のテロ事件が起こって、総理初め幹部の皆さんが官邸へお集まりになられた。これはこれで結構でありますが、例えばあのときに、どの大臣とどの大臣が集まるんだ、これをきちっと決めるべきだ。与党の幹部まで行って、情報管理センターはもう座るところもないというふうなことでは、仕事もできないじゃないか。与党の幹部はあんなところへ行っちゃだめだ。それは総理以下、防衛庁長官はまあ海外にいらしたらしいが、ちゃんとルールで決めて、この大臣とこの大臣とこの大臣で対策をとる、こういうことをやっていくことが僕は危機管理だと思うんですね。

そういった意味で、日本はたびたびこういうことに遭いながら、いまだにマニュアルがつくられていない。

そして初めの、初動のところを役人に任す。役人がそのときそのときの判断をしちゃう。役人に任すなら、もう徹底的にマニュアル化をすべきだ。そして、いざというときに、国民は、ああ、総理が働いてくれている、官邸が動いている、アメリカの大統領の動きみたいに感じられる、そういう体制をつくるべきだと思いますが、官房長官、お答えください。

○福田国務大臣

中井委員のおっしゃられることは、私、正論だと思います。
私ども、いろいろなケース、反省しながらよりよい危機管理体制をつくらなければいけないということで努力はいたしております。しかし、危機管理というのは、まことに思わざるときに、また思わざる形で起こるということで、どういう体制というのは、その危機の中身にもよるということもあります。しかし、そんなことは言ってはおられない。本当の意味の危機管理体制とはどういうものかということを、私ども懸命に努力してこの体制づくりに励みたい、このように思っております。

○中井委員

僕はそう間違ったことを言っていないですから、正論だとお褒めいただいてもありがたくも何ともありませんが、要するに、やるかやらぬかですから。毎回こんなことを言っているんですね、えひめ丸のときも言っている。

だから、それは、いろいろなことが起こる、いろいろなことに対して全部マニュアル化をしていくという努力が要るんだ。これは、専門家も含めて大至急御協議いただいてつくっていく、足りなかったら、また次つくっていく、そういう努力を常にしていくことが政治のあるいは行政のトップにおる者の責任だ、こう思いますので、お考えをください。

このテロ問題や新しい法案については、また機会があれば私も委員会で質問をしたいと思いますので、幾つかその他のことについて申し上げたいと思います。

総理は、来週、中国と韓国をお訪ねになる、こういうことでございます。この中で、僕は一つだけ気になることがあります。中国へ行かれて盧溝橋へ行かれる。盧溝橋というのは、私も四度ほど行きましたが、すばらしくきれいな橋でございます。しかし、そこにあります人民抗日戦争記念館、ここへお行きになるというのは、村山さんが行かれたり、ひょっとしたら橋本総理も行かれたかもしれませんが、私は余りお勧めできません。ぜひ御一考いただくようにお願いを申し上げます。

それからもう一つは、過般、台湾において、かつてない、歴史上初めてというような大変な台風が襲来をいたしました。台北は多分、今も地下鉄が不通になっている。かつてない水害でございます。日本に一番近いところにある、国と言っていいかどうかわかりませんが国、そして、一年間に二百万近く日本へ訪れて、阪神・淡路大震災のときにも大変な御心配をいただきました。日本はここに対して何もお見舞いもいたしておりません。少しお考えをいただくということはありませんか、お答えください。

○野呂田委員長

中井委員、どなたに答弁をお求めですか。

○中井委員

総理が答えてくれれば、総理で結構です。

○小泉内閣総理大臣

どういう被害状況か、私は今、定かに把握しておりません。また、台湾からどういうような要請が来ているか、あるいは人道的支援で日本がどういうことを今やっているか、詳しく把握していませんので、研究してみたいと思います。

○中井委員

それでは、残り十分ほどしかありませんが、銀行の不良債権問題について、少し私なりの考えを申し述べたいと思います。

不良債権問題処理が構造改革の何か目的みたいに言われている、これは全く違うんだと思っています。構造改革というものを本当に痛みを伴ってでもおやりになればなるほど、不良債権というのはふえてくるものだ。同時に、この不況下で、やはり中小企業の倒産等が相次いで、銀行が償却しても償却してもふえ続けている、これも事実。それからまた、デフレで企業の活動が縮小していますから、どうしても不良債権というものもふえてくる。

総理は、御就任のとき、二年と三年、古いのは二年、新しいのは三年で完全処理をする、こう言われ続けました。しかし、この間の所信表明では、最終年度までに正常化をする、こういう言い方に変えられているわけでございます。この言葉をお変えになった理由、そしてどこが違うんだ、ここを御説明ください。

○小泉内閣総理大臣

後ほど柳澤担当大臣にもお話しいただきますが、まず、不良債権は、ゼロになるというのは無理なんですよ。最終処理というと、ゼロになるんだと思っている人もおられる。そうじゃない。最終的には、たしか四%以下かな。そういう問題がありますから、変えたわけじゃない。てきぱきと適切に処理しなきゃならないけれども、その点について誤解がないように表現しなきゃならないということを御理解いただきたい。
柳澤担当大臣、あとをお願いします。

○柳澤国務大臣

不良債権の処理と構造改革の問題ですけれども……(発言する者あり)短くします、恐縮です。
要するに、不良債権の処理を引き当てだけでやっていると、これは実体経済とほとんど何の関係もありません。しかし、我々が言っているように、最終処理をする、バランスシートから落とすということは、相手方との関係が生じます。

不良債権の相手方には二つあります。経済状況が悪いという、ただサイクリカルな不況で不良債権化しているものもあるし、構造的に不良債権化しているものもあります。したがって、我々は、構造的な分野について不良債権の処理をすれば、それはやはり構造改革そのものだという考え方をするわけでございます。しかし他方、今委員が御指摘になられたとおり、構造不況あるいはデフレの中で不良債権が新規発生するということも、これはもう否定できない事実でございます。

正常化ということは、今総理お答えになられたとおり、不良債権の残高がバランスシートからなくなっちゃう、これはもうあり得ないことです。金融機関がリスクをしょって貸している以上あり得ないことで、一般に全与信に対して、リスク債権に対してどのぐらい不良債権が占めている場合に正常だと言えるかというと、いろいろな見方があるようですけれども、例えばアメリカの格付会社などは、四%以下であれば正常と言えるのではないか、こういうことを言っておりまして、私どもも三%台あるいは四%というところを目指していきたい、このように申し上げている次第であります。

○中井委員

昨日、総理は仙谷議員の質問に対して、市場に信用されていない、こういうことを他人事のように言われました。今の御説明は私は、少し詭弁だ。二年から三年でオフバランスをする、かなりのときに総理も柳澤さんも言われておる。それを今、オフバランスでなんて完全にできないんだ、そして三年だと。こういうのは違うでしょう。二年と三年というのと三年でというのと違うでしょう、僕らもいろいろなことを知っていますが。そこら辺を少しずつ言い方を変えていらっしゃる、ここに市場が信用しない理由があるんだ。

総理、もう一つ私、申し上げたいことがありますが、総理も柳澤さんも、この不良債権の処理に関して、金融不安が起こったときに使える十五兆円の枠のお金は今は使う考えはないと、これだけを強調されました。私の本会議の質問に対してもそうお答えになりました。

しかし、これまた市場が信用していない。使わないというところだけ逆に不安を持っている。処理しますが、万一金融不安が起こるようなことがあれば即座に適用します、こう言われるのが役割だ、私はこう思いますが、間違いですか。

○柳澤国務大臣

全然間違いではありません。総理も何回もそのことはおっしゃっていますし、私も申し上げているのです。
要するに、金融システム危機が起これば、金融危機対応会議というものが総理を議長のもとに開かれまして、そして、この十五兆円を、もう既に用意されているわけですから、これをもって資本注入をするということでございます。

我々が資本注入をしないという理由は二つあって、今はまだ、今はまだと言うといつか来そうな話になりますが、そういう状況に、そういう必要性はないのですということを申し上げていると同時に、私は、若干個人的なことですけれども、自己資本の注入はできるだけ避けたい。何となれば、銀行を国家管理することになるのです。今だって、十年ぐらい銀行のはしの上げ下げまで我々は言え、言えと言われているのです。

そういうようなことをやって、民間主導の経済というものをこれから実現しようというとき、およそ逆行することになるのじゃないかということに、私は大変なちゅうちょを感じているということも御理解賜りたいと思います。

○中井委員

もう一つ、雇用の問題について、あるいは景気対策を含めて提案がありますので、坂口大臣になりますか、あるいは他の大臣になりますか、お答えをいただけたらと思います。

先ほどから雇用のミスマッチということが盛んに言われておりましたが、実際一番難しいのは、四十以上の方を雇うというと、給料体系はどうだろう。それから、四十、五十代でリストラをされて、あるいは早期に退職をされて職を探しておられる方は、割かし退職金やらいろいろな積み増しでお金をお持ちだ、したがって、給料をうんと下げてまでお勤めにならない。雇う方は、四十前という年齢制限じゃなしに、やはり給料なんですよ。この給料で来てくれるのならということです。

そういう意味で、僕は、四十代、五十代の人が新しい仕事をいろいろな形で探されるということも必要で、お手伝いをすべきだと思います。しかし、これらの人はいろいろな経験を持っていますから、仲間と一緒に株式会社、企業を起こしてもらう。例えば、そういう人が五人寄って二百万ずつ出して一千万の仕事をなさる。ここへ国民金融公庫やら政府系が特別の融資も考える。もし三年なら三年で失敗したら、その二百万円は、過去さかのぼってか、延ばしてか、税額控除する。リスクヘッジを少し国の方で考えて、皆さん頑張って一遍おもしろい仕事をやってみてください、こういうお手伝いをするというやり方はないのかと私は思っています。
これについて、坂口さんなり平沼さんなり、どちらかお答えをください。

○坂口国務大臣

そこは御指摘のとおりと私も思います。
今失業しておみえになります皆さんの中には、今おっしゃったように、大きい企業にお勤めになった、そして四十五、五十歳の人もおみえになりますし、それから、自営業を今までからなさっていて、そして今やめざるを得なくなった人もおみえになりますから、その人に対する支援、あるいは財政的な支援、それからまた仕事の内容のお手伝い、きめ細やかにここは支援をする体制をつくらなければならない。(中井委員「税金」と呼ぶ)税金をまけるところまで私が言うわけにはまいりませんので、そういうことにしたいというふうに思います。

○平沼国務大臣

ちょっと午前中の答弁でも私触れましたけれども、やはり日本の場合には、非常に、新しく企業を起こす、そしてベンチャーを含めてそれに対するインセンティブが少ない、そういうことがあります。したがいまして、事業計画に着目をして、そして援助をするという入り口のところと、それから、午前中の答弁でちょっと触れましたけれども、例えばアメリカなんかは、失敗したそういう人たちも、あるいはいわゆる非自発的で仕事を失って経験を生かしてやろうという人たちには非常に投資しやすい環境があるし、税制でもそういう優遇措置があります。

ですから、そういうことはこれからの日本は含めて考えていかなければいけない問題だ、このように思っております。

○中井委員

終わります。
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