国会, 政治活動報告


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予算委員会

第154回国会 衆議院 予算委員会公聴会
平成14年2月27日

○津島委員長

これより会議を開きます。

平成十四年度一般会計予算、平成十四年度特別会計予算、平成十四年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会を開きます。

この際、公述人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。

公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、まことにありがとうございました。平成十四年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見を賜りますようにお願い申し上げます。ありがとうございます。

御意見を承る順序といたしましては、まず富田公述人、次に小関公述人、次に岩田公述人、次に石田公述人の順序で、お一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

(中 略)

○津島委員長

次に、中井洽君。

○中井委員

自由党の中井洽です。

四人の公述人の皆さん、大変ありがとうございます。十分間という時間しか与えられておりませんので、四人のお方に聞くわけにまいりません。最初に富田公述人、岩田公述人にお尋ねをし、時間があれば小関公述人にお尋ねをしたいと思いますので、石田さん、お許しをいただきたいと思います。

今、議論をいたしておりまして一番頭の痛いのは、政府・与党内の経済政策というのが非常にぶれがあって、なかなかどういう方向へ行くのか私ども判断がつかない。ここら辺に困惑もございます。そういう意味では、予算の公述人の方が、与党御推薦でありながら、富田公述人と岩田公述人で全く違う方向でお話しなすったというのもこれらをあらわしているか、このように聞かせていただきました。

そこで、お二人の公述人に、昨日政府が取りまとめ、きょうにもまた経済財政会議等で決めていこうといたしますいわゆるデフレ対策、これについてどのようにお考えであるのか、お尋ねをいたします。

特に、富田公述人におかれては、景気対策と決別してでも財政再建、そして税制改革あるいは不良債権処理を急ぐべきだ、こういうことをはっきりと述べられました。デフレ対策イコール景気対策だ、私はこう思うんですね。ここら辺をどう御判断なさるか、お尋ねをいたします。

○富田公述人

だれだって、物価が上がっている方がいいというふうに思いがちであります。しかしながら、例えば、インフレーションターゲティングが設定されて、それで人々がインフレになると本当に信じた瞬間に、これは長期金利が上昇してまいります。そうすると、実質金利と申しまして、企業の経済活動にまた経済全体に大きな影響を与える実質金利は、その場合ですと今と変わらないわけでして、それによって経済活動を変えることはできない。したがって、インフレ期待がどのように市場にあらわれるか、そういう不確実なものに依存して政策を行うということになるわけです。

それで、財政規律がきちんとこれから先守られて、現在の高齢者だけじゃなしに、これからの若い人のセーフティーネットも維持できるようなものになるように財政赤字の抑制が図られるという前提の中で国債の買いオペがふえる、あるいは日銀券の発行残高の範囲内で国債の買いオペを行う、そういう枠なり規律というものがありませんと、不幸なことになってしまいかねない。

戦前、高橋是清大蔵大臣が国債の日銀引き受けをやってうまくいったかのようなお話がありますけれども、それに先立って、昭和七年七月には資本逃避防止法という形で、外国にお金が流れないようにしてブロック経済、まさにブロック経済の時代でありまして、それで、国内で金融緩和をしたので物価が上がったということであります。

私は、高橋是清大蔵大臣の金融緩和政策で景気がよくなったという面以上に、それに先立って企業が必死に事業の再構築を行っていて、かなりの部分あく抜けしていて、その結果として昭和八年以降景気がよくなっていったという面を無視できないと思います。そういう意味において、企業が自己責任でリスクとリターンを計算していくということが極めて重要だと存じます。

○中井委員

岩田公述人にお尋ねをいたします。

デフレ下で財政再建は無理だ、このようにおっしゃいました。そういう意味で、今回発表されましたデフレ対策についてどのように御判断をなさっておられるのか。同時に、インフレターゲットを初め日銀の活用ということを言われましたが、私どもはやはり、財政再建というものも頭には入っておりますけれども、三十兆円枠というのもこの際少し考えて、思い切った景気対策をやらなければ、日銀の政策だけではデフレというのをとめられない、このようにも考えておりますが、岩田公述人はいかがお考えでしょうか。

○岩田公述人

政府のデフレ対策でありますが、やはり私は、先ほど言ったインフレターゲットの量的緩和といいますか、そういう政策が基本の柱になっていなければいけない。それが政府のデフレ対策、政府ですので、日銀の管轄ということもあって遠慮していると思いますが、それが基本に据えてなくて、日銀に働きかけるというところが十分見えないところが心配であります。それなくして、むしろ不良債権の処理等を早めるとかそういったことが割合前面に出てきてしまって、これは、去年のまだデフレ問題が余り言われなかったときの緊急経済対策から抜け出ていないのではないかと思います。

例えば、不良債権の処理がどうしてデフレ対策になるのかと思うのです。まだ何となく、不良債権を処理すると銀行が成長産業を見つけ出して急に貸し出すのではないか、こういうふうに思っていらっしゃるのだと思うのですが、デフレの中で不良債権を処理した銀行が、なぜ急にきょうから、成長産業がここにあったよと気づいて貸し出すのでしょうか。なぜ急によりよい投資先が見つかるのでしょうか。もしもよい投資先や成長産業があるなら、幾ら不良債権があっても既に銀行は貸しているはずです。なぜならば、不良債権があっても、有利な借り手には貸した方が利益が上がりますから、その利益から初めて不良債権は償却できるはずであります。不良債権を処理しないと成長産業に資金が回らないというようなことはあり得ないということです。むしろ、現在、不良債権の処理を早く進めれば進めるほど、企業倒産が起こり、デフレが起こって、なお一層の不良債権になる。それを、引き当てを積みなさいといっても、引き当てする資金がないわけでありますから、それは無理な話だと思います。

問題は、結局、インフレターゲットつきで量的緩和をやれば、みんながインフレになると信じてやるかどうかという点でありますが、これは、最終的に言えば、やってみなければわからないという答えしかないわけであります。なぜならば、こういう政策をやること自体が実験でありまして、部分的にこの辺で実験しようということはできないわけなんです。これが経済政策の宿命であります。

そういう場合には、過去の事例はどうだったんだろう、そういうことが一つの参考になるのでありまして、過去にそういう政策をしてデフレ脱却があったわけです。逆にそういう政策をとらなかったフランスの場合、いつまでもデフレ脱却できなかった。そういうことが一つのメルクマールになる。

そういっても、今度は、そういう議論をすると、当時と今では違うじゃないか、こういう話になる。それは当然ですね、当時は私も生まれていませんから、それは当然違うと思う。あらゆるところで、違うことは幾らでも探せるわけでありまして、そういうあら探しといいますか、とにかく否定するためには、実は議論は幾らでもできるんですね。当時とは違うんだ、昭和恐慌を脱出したときと違うんだとか、大不況をアメリカが脱出したときとは違うんだと幾らでも言えるわけでありまして、つまり、反対論は、言おうと思えば幾らでも言えるということを気をつけなきゃいけないと思います。

したがって、最後は、ではどこが問題かといいますと、きく、きかないの議論をいつまでやっていてもらちが明かないということであります。一生懸命こうやって、過去の例とかいろいろな例を調べたり、いろいろ言ったって聞かないわけですね。きかないと言う人はもう聞かないんですよ、それこそ。ですから、これは説得はだめなんですね。

ということになると、きかないと言う人は、つまり、インフレターゲットの徹底的な量的緩和をどんなにやっても、いつまでたってもインフレが起こらないで、貨幣が来るとみんなただ貨幣を持っているだけだ、こういうふうに言っているわけですね。そうである人には、それだったらそれでいいじゃないかと私は開き直りたいと思います。要するに、この政策はきくという可能性があると言っているので、それを信じないで、貨幣を持ったらずっと貨幣を持ったきりだ、これはデフレ経済の特色ですが。そうであれば、この政策、インフレターゲットつきの量的緩和をやると日本経済が奈落の底に落ちるんだということを言ってほしいと思うのです。つまり、この政策は、きかないんじゃなくて、悪くなるんだと言ってくれれば私も納得するんですが、悪くなるという論拠が示されたことがないんですね。

今、富田さんが悪くなる一つの論拠として言ったのは、インフレターゲットのインフレ期待が起こったときに、長期金利はインフレ期待を反映してすぐ上がってしまって実質金利は変わらないじゃないかという議論でありますが、これは基本的に、デフレギャップがある世界では、長期金利や名目金利はインフレ期待だけでは上がりません。理論的にも上がらないし、歴史的にも上がっていません。

例えば、昭和恐慌でこういう政策で徹底的に日銀が国債を買っていくわけでありますが、そういう中で一〇%のデフレから三%のインフレにたちまち変わるわけです。つまり、一〇%下落から三%ですから、足し算して一三%インフレ率が上がった。したがって、人々もそれだけぐらいの期待をしたとする。しかし、名目金利は下がっています。上がらないんですね。

どうしてそういうことが生じるのかというのは、理論的に考えるとわかるのですが、まず、もしも一三%のインフレになって一三%だけ名目金利が上がったとすると、実質金利は富田さんのおっしゃるように下がりませんね。下がらないと、設備投資は依然として有利になりませんから、設備投資は起こりません。耐久消費財を買うことも有利ではありませんから、需要がふえないんですね。需要がいつまでたってもふえないということを富田さんはおっしゃっているんです。実質金利が変わらないということは総需要がふえないということを言っていらっしゃるんです。

総需要がいつまでたってもふえない、そうすると、足元ではいつまでたっても物価が上がりませんね。いつまでも物価が上がらないで、なぜインフレ期待が生まれてきたんでしょう。インフレ期待自体が生まれないんですね。自己矛盾に陥っているわけです。最初は、インフレ期待が起こるから名目金利が上がると言ったけれども、足元ではいつまでも物価が上がりませんから、インフレ期待が間違いだという修正が起こるはずですね。

したがって、なぜインフレ期待が起こって物価が上がってくるかというのは、インフレ期待が上がったほど名目金利が上がらないで実質金利が下がるから、在庫投資から始まるでしょう、設備投資や耐久消費財の支出がふえてくるというメカニズムがあるから需要がふえてくる。したがって、デフレがとまってじりじりと物価が上がり始めるんです。

そして、このときになぜ実質金利は上がらないのだろうかというと、そうやって総需要がふえてきますと所得がふえてまいります。所得がふえると人々はその一部を貯蓄しますね。その貯蓄資金が設備投資や在庫投資をファイナンスする資金になるんです。だから実質金利は上がらないで済むんです。

つまり、名目金利はインフレ期待ほどしばらくは上がらないんです。しかし、デフレギャップがなくなってしまうと名目金利は上がり出すんです。ですから、デフレギャップがなくなる過程ではそういうことは起こらないということです。そういう意味で、今おっしゃったのはきかないという例ですね、あるいは悪くなるという例に対する一つの反論です。

○中井委員

ありがとうございました。終わります。
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